実験の魅力

4月は3年生の学生を対象とした学生実験を担当しています。食品科学コースに所属する学生約40名を相手に,天然物化学実験という項目で,月曜日と火曜日の午後に1ヶ月間の実験指導をするというものです。彼らは2年生の間に1年を通してすでに学生実験を経験していることもあって,一つ一つ細かい指示まで出さなくともてきぱきと動けるようになってはいるのですが,折りを見ていろいろと実験内容について質問してみると,なぜ今こうして温度を上げているのかとか,なぜ今吸引しながら濾過をしているのかとか,意外にも本質的なことを理解せずに手だけ動かしているということが多いのです。これでは,ただ単位を取ることを目標にノルマをこなしているだけになってしまって,物事を探求するおもしろさを実感することが出来ません。決められた答えを手際よく出した人が偉いのではなく,思いもよらない結果を出した人が,何故ひょんな方向に道をそらしてしまったのかを考えあぐねることに意味があるのだ,と事あるごとに伝えていますが,さて果たしてその真意が伝わってくれているかどうか。


とにもかくにも,本の中にあった知識を,自分の手の中で実際に確かめることができる実験科学の魅力が,一人でも多くの学生に伝わってくれると良いのですが。