野茂投手の引退

大リーグのロイヤルズを解雇されてから,次なるチームからのオファーを待っていた野茂投手が,突然の引退を表明したとのこと。野茂投手がボストンレッドソックスの初登板の時に2度目のノーヒットノーランを達成したことは有名ですが,その試合をボストンのアパートでリアルタイムで(もちろんテレビの前で)目撃して以来,ずっと応援をしていただけに,引退は本当に残念です。


日米通算で201勝という成績を残していることからも,大投手であることは疑いないことですが,そのかたくななまでの野球への情熱を知れば知るほど,もう少し長く活躍の場を与えてもらえないかなあというのが正直なところ。メジャーでのべ8球団を渡り歩いたことからも,活躍の場を求めた気持ちのほどが伝わってきますが,野茂投手自身も引退は悔いが残ると正直に話しているそうです。


野茂投手の野球への情熱がひしひしと伝わってくることは,メジャーに移る際に1億4000万円の契約を破棄して,わずか980万円の年棒ドジャーズと契約したことに限らず,現役を続けるために,トレードマークとも言えるトルネードをかなぐり捨ててまで現役続行にこだわったことや,自分のことばかりか夢を追う若者の方を常に向いて行動を起こしていたことからも。たとえば,アメリカでは経営難に苦しむマイナーリーグのチーム(エルマイラ・パイオニアーズ)に対して私財を投じて2002年に共同経営のオーナーとなり,地域の野球への思いに手助けしたいという気持ちを形にしました。そして日本では,自分が育った社会人野球の衰退を嘆いて,自らNOMOベースボールクラブを創設し,プロ野球選手を輩出するほどのチームに育て上げました。


大リーグでは,通算1406盗塁という史上最高の記録を持つリッキー・ヘンダーソンが,45歳で大リーグのチームからオファーがかからなくなった後も,47歳まで独立リーグでプレーを続け,メッツのコーチをしていた49歳の時には突如メジャー復帰宣言をして話題になったこともあります。野茂投手も,もう一度メジャー復帰というのは確かに難しいかもしれませんが,自分のチームであるNOMOベースボールクラブで体力の続く限り現役を続けるというのも,また見てみたいなと一ファンとして思っています。実は,野茂投手は全30球団のメジャーチームのうち,唯一ロサンゼルス・ドジャーズからだけ勝利を挙げておらず,もしそれがかなえばアル・ライター以来史上2人目の全球団勝利達成となるのですが・・・。


ひとまずは,ご苦労様でした。