参考文献データベース

論文を書く際に欠かせないものの一つは,参考文献の項目です。過去の論文をいっさい参考にせずに研究を進めることも有り得なければ,それがたとえ最先端の誰も未開の領域だとしても,そうであることを知らしめるためにはやはり過去の研究に触れなければなりません。この参考文献は,もちろん研究を進めるに当たって普段からデータベースを作っていて,いざ論文を書く段になってそれを利用することになるわけですが,投稿する学術雑誌のスタイルがそれぞれに違っていることもあってなかなか厄介な代物です。


「EndNote」というソフトウェアは,多くの研究者が利用しているまさに定番文献データベースでしょう。このソフトウェアは確かに高機能で,文献データベースとしては申し分ないのはもちろんのこと,さまざまな学術雑誌のフォーマットをもあらかじめ備えているおかげで,論文修正後に投稿先を変えるなんていうときには本当に重宝します。しかし,いかんせん「高い」のが難点です(52,290円なり)。おまけに,僕が愛用しているMacintoshはCPUがPowerPCからIntelへの過渡期とあって,まだPowerPCを使っている身にはなんともEndNoteの最新バージョンを購入しがたい状況でした。


そこで,一念発起してフリーウェアでこのような文献データベースがないか探してみました。フリーだからといって侮ってはいけません。Linuxの例を出すまでもなく,ちまたにはなんとも信じがたいようなフリーの高性能ソフトがあふれています。それから,最近は論文に限らずいろいろな文章を書く際に「LaTeX(ラテフとかラテックと読まれています)」を使っていることもあって(id:yabet:20070108),このLaTeXで書いた論文には「EndNote」が使えなさそうだというのも,探し始めたきっかけになりました。


まあ,世界中にTeXの愛好家が居るわけですから,すぐにざくざくと見つかりました。なかでも,これはMacで使うとEndNoteに代わるものとして抵抗なく使えるかなと思ったのが,「BibDesk(http://bibdesk.sourceforge.net/)」というソフトウェアです。もちろん,LaTeXの参考文献データベースとして使用するためのBibTeXというフォーマットに対応しているのですが,そんなことを気にせずに普通にデータベースとして使える印象です。さっそく今はひたすら使いまくって,何か不具合がないか検討している段階ですが,今のところはこのままいくと完全にEndNoteから手を引けそうに感じています。


ただし,このソフトウェアの難点は,各学術雑誌のスタイルに自動的にあわせてくれるなんていう機能をもっているわけではないこと。しかし,そこは世界中に散らばるLaTeXのユーザー網です。ありました,そんな便利なことをかなえてくれるものが。BiTeXで自動的に文献リストを作成するときに,文献リストのスタイルを決めるためのスタイルファイルであるbstファイルを作成するためのスクリプトが提供されています。「cbst(http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/anes/www/latex/bibliography.html)」というものです。世の中には本当に献身的な方が居ますね。このスクリプトを使うと,質問に答えていくだけで,参考文献のスタイルにかなったbstファイルが出来上がります。また,メジャーな学術雑誌ともなれば,「LaTeX Bibliography Styles Database(http://jo.irisson.free.fr/bstdatabase/)というウェブサイトで「スタイルファイル(.bst)」が見つかると思います。


というわけで,今はBibDeskを使いまくっている段階ですので,使用レポートをそのうちにまた書きたいと思います。