恒例の勉強会

毎月の月末金曜日には,獣医学の先生方が中心になって開かれている「おにぎり会」という勉強会に参加しています。博士課程の学生を中心に,若手の先生方が30人ほど参加していて,毎月二人の先生が研究の進捗状況を発表することになっています。地方の大学ともなると,なかなか研究者の絶対数が確保されないこともあって,科学的な新しい知識への刺激にいささか乏しいのが悩みの種です。たとえば,ボストンでは近郊に60以上の大学がひしめきあっていましたから,毎週どこかしらの大学でセミナーが開かれていました。しかもそうした情報はネットワークを通じて研究者に共有されていて,今日は糖鎖研究の大御所がハーバード大学の理学部で講演するという情報がきちんと伝わる仕組みが出来ていることには感心しました。僕もよく,セミナーを求めて,バスでえっちらおっちらとあちこちの大学に聴講に向かったものでした。


まあ,そのように外部の研究者を迎えるということは少ないですが,毎月定例で全く分野の違った研究者の話が聞けるというのは大いに刺激になります。特に今回は微生物を話題にしたものでしたが,現在この分野のトピックとなっているサルモネラ菌の細胞内寄生の分子機構を実に見事に説明していただきました。いやはや,サルモネラの上皮細胞への細胞内侵入には、III型分泌装置(さんがたぶんぴつそうち)と呼ばれる、細菌の細胞質タンパク質を菌体外に分泌するための機構が関与しているということを,恥ずかしながら全く知りませんでしたので,大いに勉強になりました。


実を言うと来月の発表の担当になっていますので,今から準備を始めています。終わった後に,時間の無駄だったと言われないようにしないと。といって,それは普段の研究がどうであるかによって決まることで,あと1ヶ月の発表の準備によって決まることではないのですが。