ヨーロッパ学会旅行

イタリアで友達になった猫

まだまだ日中のギラギラとした陽射しが肌を突き刺す岐阜だけれども、今日は台風一過の風に秋の気配がようやく漂うようになってきた。日本一暑いと言われる岐阜の夏は、東北者に新種のカルチャーショックをもたらすも、なんとかやり過ごすことが出来たようで、めでたし、めでたし。

さて、今月は12日間という長きに亘り、イタリア(フィレンツェ)とスウェーデンストックホルム)で開かれた学会に参加してきた。結果的に岐阜の暑さを一時的にしのぐこととなったのだが、特にスウェーデンは暑さをしのぐどころか、気温10℃ほどの晩秋を思わせる陽気。セーターなどの防寒着を準備よろしく着込んでいた他の参加者を横目に、何の防寒着も用意しなかった僕は、危うく北欧の風邪ウイルス共々帰国しかねない状況であった。

フィレンツェは義姉夫婦が住む街ということもあって、僕にとって二度目の訪問。世界遺産にも指定されている街並の素晴らしさは言わずもがなだが、日常生活を送る人々の暮らしぶりと、それをそっと後ろで支え立つような街の建物との、なんともいえぬ心地良いハーモニーが耳元に聞こえてくるような雰囲気がたまらなく良い。夜遅くまでぎっしりとスケジュールが組まれていることが少なくない海外の学会には珍しく、この学会は午後6時にはきっちり終了するという粋な(?)はからい。MITでのボス(現在はチューリッヒ工科大学の教授に就任)に久々に会って近況を報告したり、大学の後輩に期せずして遭遇したりと、充実したフィレンツェを満喫した。

パリ経由でストックホルムに向かった後、すぐさまタクシーで45分ほど郊外に走り、学会の会場となるホテルに到着。見渡す限りの森林と海からの入り江とが織りなす風光明媚な場所ではあるが、ある意味外界とは完全に遮断された空間に身を置き、会期中はまさに参加者達と寝食を共にして過ごすことに。ここでは、ハーバード大学のボス(現在はダートマス大学の教授に就任)と2年前に東京の池袋で会って以来の再会を果たし、現在共同執筆している論文についてしばし打ち合わせなど。今後の研究の展望などで有意義な話を交わすことが出来、またしてもなかなかの充実っぷり。なにしろ、会合そのものがプロテオグリカンのシグナル伝達に絞ったものであることや、朝食の時から深夜のアルコールを片手の議論まで、参加者の距離の近さをまざまざと感じることがしばしで、なんだかこの1週間を境に研究がいっきに進んだような気分に。

というわけで、大学の後学期が始まるのを前にして、気分を一新させる良い体験が出来たという話。