今年のノーベル賞

今年もノーベル賞の各分野での受賞者がすべて決まりました。科学関係では,テロメアリボソーム光ファイバーとCCDということで,懐古色の強さが今年の特徴かなと思います。そのなかでも,光ファイバーに関しての受賞では,僕が学生時代の総長であった西澤潤一さんがこの中に含まれていないということに,残念な気持ちも少し手伝って,なにか割り切れないものを感じました。今回は,光ファイバーとCCDを同時にひとつのカテゴリーとしてノーベル賞にせざるを得なかったがために,おそらくは西澤さんが落選ということになったのでしょうが,もしCCDはまたの機会にということになれば,1964年に自己収束型光ファイバーを開発し,今回の受賞者の受賞理由のひとつでもある光通信の可能性に既に言及していた西澤さんにも吉報が届いたに違いありません。


最近お見かけしないなあと思っていたら,岩手県立大学長,首都大学東京学長を歴任された後,今年の8月から上智大学で特任教授として研究に携われているそうで,ますますお元気なようです。僕の学生時代に,サークル団体の代表が集まって総長に物申す会があった際に,将棋部の代表として出席し,こちら学生の要求に対してできることはやる,できないことはできないと明解に回答している姿を間近で目にしたことが思い出となっています。


まあ,西澤先生の場合は,光ファイバーがダメでも,PINダイオードに静電誘導型トランジスタに静電誘導サイリスタに高輝度発光ダイオードと,まだまだノーベル賞級の業績が残っていますから,今後に期待です。もっとも,世界の電子工学関連でもっとも権威と栄誉ある賞の名前が「ニシザワメダル」と既に自分の名前が冠されてしまっているだけに,○○賞というレベルを超越しているような気もしますが。