オススメの本(第2弾)

先日紹介した今年読んだオススメの本は3冊でしたが,それから数日の間に机の周りや本棚を眺めていると,これも良かったな,これも勧めたいな,という本がいろいろ出てきました。
すっきりと年越しをするためにも,そうした本を一挙に紹介したいと思います。


まずは新書で純粋に知識が増えるのに役立ったものとして・・・

ゲノム編集技術である「クリスパー」が世間を騒がせています。単なる科学の世界の手法としての最先端の技術にとどまらず,一般社会への影響力をいかに秘めている技術であるのか,この本を読んでなるほどと理解しました。


現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病 (ブルーバックス)

現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病 (ブルーバックス)

「現代免疫物語」シリーズの第3作となる本書は,免疫学の分野で最近話題となっているありとあらゆる研究について網羅しています。現代免疫学を俯瞰するにもよし,はたまたその最先端の免疫学に触れることで知的好奇心を掻き立てるもよし。読み始めたら止まらない一冊です。


つぎは学生さんの指導に役立ったものとして・・・

実験で使うとこだけ生物統計2 キホンのホン

実験で使うとこだけ生物統計2 キホンのホン

我々の分野で統計処理なくして研究をまとめることはできませんが,これを学生に指導しようとするとなかなか難儀するのです。この本は,一般的ないわゆる統計学の参考書とは趣を異にしていて,非常に簡潔にまとめられているのですが,その実痒い所に手が届くように書かれているため,学生の疑問に答える際に重宝しています。


表現英文法 増補改訂版

表現英文法 増補改訂版

722ページとかなりの厚さを誇る書籍ですが,表現する視点に立った英文法の体系化の仕方がかなり秀逸です。読み物として通読しただけでも,かなり英語のレベルが上がるのではないかと思わせてくれる一冊です。(もちろん,英語の習得は地道な努力が必要ですが)


国際誌エディターが教えるアクセプトされる論文の書きかた

国際誌エディターが教えるアクセプトされる論文の書きかた

英語の論文を書き慣れていない大学院生向けのこの手の本は巷に溢れていますが,著者の方が世界のトップジャーナルのエディターを11年務めた方とあって,さすがに非常に実践的なアドバイスが散りばめられた本です。また,論文のレフェリーを務めることも増えてきた新米レフェリーの我々にとっても,「自分がレフェリーになったら」という項目がなかなかに参考になります。


最後に研究者としての道しるべに・・・

まず大前提として,この本に書かれていることにおおいに共感します。そしてそれを土台として,自分自身がそうなっているか自分の立ち位置を比較するというのも,この本の利用法としておおいに結構でしょう。しかしながら,研究者としての進路を突き進もうかどうしようか迷っている学生に対して,この本に書かれていることを実行していくことが果たして魅力的だと感じるかそうでないか,と突きつける。そういった進路指導に使える本ではないかと思います。


できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)

できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)

論文を生産するためには,それはもちろんその元となるデータがなければならないだろうけれど,そのデータがわんさとあるからといって,なかなか論文を量産するということができないのもまた事実。そんな時に,この本ではまさにどうすれば「たくさん」論文が書けるのかのハウツーを教えてくれます。僕も早速,「大学に出かける前の1時間を論文執筆時間にあてる」を実践しています。


科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック

科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック

大学で働く研究者の命の綱ともいえる「科研費」ですが,毎年申請書提出の時期ともなると,自分の思いがどうして伝わらないのだろうと悶々とすることも。そんな「書き方」の誤解や思い込みを解消してくれるにはもってこいの精神安定剤的一冊です。もっとも,この本が本当に役立ったかどうかは,来年4月初めにわかることになりますが。