ブラウザの進化

普段はアップルのMacintoshを愛用していることから,インターネットのブラウザといえばもちろんSafariを使うことが多いのだけれど,最近Googleから無料で配布されている「Chrome」の便利さにまいっている。


この「クローム」という言葉自体は,ブラウザ開発関係者の間の専門用語として昔から使われているもので,ブラウザに付属するフレームやツールバー,メニューなどをまとめてchromeと呼ぶのだそうですが,なんでも,本来ユーザーの使い勝手をよくするこれらを使わずに直感的に操作できるブラウザこそがよいものだという信念のもとに開発されたのが「Chrome」ということだそうです。なかなか皮肉の効いたグーグルらしい発想の製品かなと思います。


さて,その便利さですが,まず開発信念そのものに,見た目がすっきりしていることもよいことの一つではあるのですが,グーグルの製品だけあって検索機能がまさに秀逸です。たとえば,我々は仕事がら過去の論文をあれやこれやと探すために,PubMedというデータベースによくお世話になるのですが,これを使うためにはもちろんそのサイトに移動して,そこに検索語を打ち込んで,さて検索・・・ということになりますね。ところが,このChromeにかかると,ちょっと勝手が違います。URLウインドウを兼ねた検索ボックスに「pu」と打ち込むと『tabを押してPubMedを検索』と表示され,それに従ってtabキーを押すと,検索ボックスには「PubMedを検索:」という案内が出て,その後に打ち込んだ言葉をそのままPubMedで検索してしまうというものです。ウェブサイトを移動せずともデータベースを使って検索できてしまうのは,一度使ってしまうともう手放せない便利さです。


このしくみは,「オープンサーチ」という技術を使ったもので,PubMedのようにこの技術に対応したウェイブサイトで一度でも検索を行うと,Chromeが自動的にそのURLを記憶してしまうので,次にそのサイトで検索を行いたい場合は,キーワードを入力(たとえばPubMedの場合は「pu」)してtabキーを押しただけで,すぐさまその検索サイトに移動せずとも検索ができるというものだそうです。


その他,便利な機能拡張がいろいろとそろっていたり,ブラウザ上で起動するアプリケーション(CacooやPixlrは秀逸)がほとんど無料で提供されていることなど,ほんとほれぼれしてきます。このブラウザを見て,アップルも黙ってはいないでしょうから,Safariにもきっといい刺激になっているに違いありません。というわけで,まだ試されていない方は,一度お試しあれ。