はじめての入学式

岐阜大学に赴任して初めての入学式にのぞみました。大学院連合農学研究科と大学院連合獣医学研究科の入学式で,それぞれ23名ずつの博士課程の学生を迎えた式でした。


「連合」と付いていることからも分かるように,いくつかの大学が共同で博士を養成するシステムの大学院で,岐阜大学の連合農学の場合は静岡大学が,また連合獣医学の場合は帯広畜産大学岩手大学東京農工大学がそれぞれの構成大学となっているものです。また,岐阜大学はこの二つの組織の基幹大学となっているため,入学式は岐阜で行われます。つまり,たとえ東京農工大学で日々研究を行いながら博士を修得した場合でも,出身大学は「岐阜大学」となるしくみとなっています。ちなみに,岐阜大学にはもう一つ,大学院連合創薬医療情報研究科という連合大学院があり,こちらは岐阜市立岐阜薬科大学との連合大学院です。


この入学式に出席した理由は,はじめて博士課程に入学する学生を迎えることになったからで,いわゆる主指導教員という立場で招待されたのでした。式では,壇上に並ぶ学長をはじめとする役員の方々の顔をみながら,ようやく大学人として認められたような気持ちが湧いてきて,学生のための式ではあるのですが,こちらもまた大学人としての元服式に出席しているような気持ちがしてきました。


これまで6年半にわたる教員生活で,研究指導した学生の数はなんともはや75人にものぼります。その中には副指導教員として指導した博士課程の学生も6人いるのですが,「主指導教員」という肩書きはまだ経験していませんでしたから,入学式にのぞんで元服式のような気持ちになったのかもしれません。もちろん,入学式の主役はまったくもって学生であって,こちらのことを気にかけている人は一人としていないでしょうが。


とはいってもあくまでスタートラインに立ったに過ぎない状況ですから,なんとか未来の社会を任せられる「博士」をきちんと育て,「学位記授与式」に次にのぞんだ時にこそ,僕にとっての本当の元服式になるのかもしれません。